ゴミ屋敷の片付けにかかる費用を調べると、サイトによって1万円台から50万円と、その金額には大きな差が見られます。
同じ清掃なら安い方がお得と業者を選んでみたら、実は資格のない業者で何百万もの罰金を支払うことになるかもしれません。
今回は、ゴミ屋敷の片付けの費用が二極化している理由、悪徳業者を選ばないための注意点を解説します。
もくじ
ゴミ屋敷の清掃を依頼する際、費用を調べてみると、1万円~50万円以上と、その費用にかなり幅があります。
「期間限定 夏の格安プラン」「最安値でご提供 大清掃キャンペーン」など文句を謳い、1万円台からのサービス提供を掲げる業者。
対して、間取りや作業人数によって金額が異なるものの、最低料金も8万円から50万円以上の見積もりになる業者もあります。
どの業界にも相場があり、そこからサービス内容によって多少の違いがあるものですが、価格幅が大きいのがゴミ屋敷などの特殊清掃の業界です。
実際に現場で働く我々としては、一般的に「高い」と感じる価格が相場だと考えています。
これは依頼費用が二極化している理由に関係しています。
ゴミ屋敷の片付けを格安で行う業者が増えてきています。
なぜ同じ依頼内容なのに、費用にここまで差があるのでしょうか。
その理由として、「開業のハードルの低さ」「無許可で営業している」ことが挙げられます。
特殊清掃の仕事は、他の業界に比べると開業にあたってのハードルが低いです。
「資格なしで誰でもできる」「身ひとつ、軽トラひとつ、資本金いらずで始められる」このように考えて仕事を始める方がいるため、特殊清掃業者が年々増えています。
ゴミの片付けというと、誰でもできると思われがちです。
家の掃除ができるなら、ゴミ屋敷だって片付けられるだろうと安易に考えている可能性が高いです。
そういった方の場合、他社より少しでも安い価格で設定することで、自分のところに依頼してもらおうと考えています。
作業内容も良いものとは言えないかもしれません。
簡単にできて、収入もいい。
そのように考えて安易に開業する業者ほど、格安な料金プランを提示しているのです。
資格いらず、楽に始められて稼げると思われがちな特殊清掃業ですが、実はこれは大きな間違いです。
ゴミを処分するには「一般廃棄物収集運搬業」という家庭ゴミを片付ける許可が必要になります。
これは各市町村から認可を受けることになるのですが、廃棄物処理法に基づき、一定の要件を満たす必要があるため、取得するのが難しいです。
市町村によっては、新規申請を受け付けてないところや、受け付けていても限定付きの許可を出している場合もあります。
一般家庭から出る廃棄物は、すべて一般廃棄物になります。
そのため「一般廃棄物収集運搬業」がなければゴミを運搬し、処分することはできません。
ゴミ屋敷の片付けは、誰にでもできる仕事ではありません。
そこを知らないまま開業する業者が非常に多いのが現状です。
これらの理由から、特殊清掃の価格は二極化していると考えています。
費用を安く設定している業者は無許可業者である可能性が高く、安さに惹かれて依頼してしまうとトラブルになるかもしれません。
市町村から委託を受けていない、もしくは一般廃棄物収集運搬業許可を持たない業者が、処理費用をいただいて廃棄物を引き取る。これは無許可営業に該当し、廃棄物処理法で定められた罰則の対象になります。
ゴミを捨てることに許可がいると知らない業者は、ゴミ屋敷で出たゴミを持ち帰り、近所のゴミ捨て場に捨てているのかもしれませんが、これは違法行為にあたります。業者として常習的に不法投棄をしていた場合、さらにペナルティーが課せられるかもしれません。
行政から罰金を請求され、業者が責任を負わなかった場合、依頼者が問われてしまう可能性もあります。
行政から処分を下された際、業者がどこかへ逃げてしまうことも多々あり、トラブルになったケースが増えています。
相場よりも著しく安価で業務を遂行している会社が、法的処分の責任を負ってくれるとは信じがたいです。
トラブルを避けるためにも、費用の安さを重視して清掃業者を選ぶことはやめましょう。
「ゴミ屋敷から解放された!」と喜んでいたら、業者の違法行為によって事態は一変。
そんなトラブルに巻き込まれないよう、業者を選ぶときには注意が必要です。
きちんとした業者を選ぶために抑えておきたいポイントは3つ。それぞれ詳しく解説します。
ひとつ目のポイントは、会社の住所が家、団地・アパートの一室どうかです。
まずは会社の住所を調べましょう。
住所が書いてないというサイトもざらにありますし、書いてあっても公民館や他人の住所になっていた、なんてことも少なくありません。
住所をGoogleマップで見てみると、住所の場所が団地や家、アパートの一室になっていることがあります。
これは個人事業主の可能性が高いです。
このような業者は、依頼が来たら急いで派遣会社に連絡して、その場限りの人間を特殊清掃士として雇っているかもしれません。
サイトに住所が載っているか、記載されていたとしても会社としての実態があるのか、確認するようにしてください。
2つ目は業績、業歴です。
たとえば「年間件数1万件」と書かれていた際、日割り計算すると1日30件の現場をこなしていることになります。
ゴミ屋敷にかかる時間は1件につき1日~数日かかるケースもあります。1日30件行うとなると、1チーム4人と計算しても、1日に240人の従業員が稼働している会社ということになります。
そんな大規模な特殊清掃業者はありませんので、記載されている実績数は偽の情報と考えられます。
数字が大きいから実績がある、大きな会社だから信頼できるだろう、と安易に飛びつかないことが大切です。
大きな数字ほど一度疑ってかかるようにしてください。
求人情報の有無も選ぶ際のポイントになります。
特殊清掃員は、他の仕事に比べると求人情報が見つけにくいかもしれません。
ですが、業績がある会社や、伸びている会社だったら求人があるはずです。
求人情報=給与を明示していないのは、払える自信がないのと同じです。
求人がない会社は、安定した仕事の受託ができていない会社ということ。
求人情報がまったくない会社を信用するのは避けたほうが良いでしょう。
ゴミ屋敷の片付け費用を格安に設定している業者の実態を理解していただけたでしょうか?
安く請け負っている業者には、何かしらの理由があります。
トラブルを防ぐには、ゴミ屋敷の清掃を安く済ませようと思わないことです。
自分では手が付けられなくなってしまった、対応できない作業だから特殊清掃に依頼していると思います。
法律に従い、適切な処置をするとしたら、費用はどうしても高くなってしまいます。
今回紹介した注意点を踏まえて、信頼できる業者を見極めて依頼するようにしましょう。