天井まで積み上げられたごみ袋をどけるたびに、飛び立つゴキブリ、食べカスに飛び回る大量のハエ。
ゴミ屋敷の特殊清掃では、大量の害虫に遭遇するのはよくあることです。
害虫に慣れている特殊清掃員でも、ギョッとするのは得体の知れない虫に出会ったとき。
今回は、ゴミ屋敷で必ず出くわす害虫をランキングで紹介します。
また、ご自宅で見かける可能性がある不気味な虫もピックアップしてみました。
もくじ
薄暗くじめじめ、重なりあうゴミでいっぱいの部屋は外の世界と切り離された異空間。
そんなゴミの中で生まれる虫は、外の世界では見たこともない様相を呈しています。
ゴミ屋敷の清掃では、ゴキブリが壁にびっしりいたり、ゴミをどけるたびに大量の虫が一斉に飛びまわったりすることも。
特殊清掃の仕事をしていると、そんな光景が当たり前のようにあるのです。
ゴミ屋敷にある食べカスや衣類など散乱した状態は、虫たちにとって食べ物がいつでも豊富な状態。
掃除をしないので、産み付けられた卵がどんどんふ化してしまい、繁殖してくださいと言わんばかりの環境なのです。
そんなゴミ屋敷でいるのが当たり前、必ず遭遇する虫トップ5を見てみましょう。
体長が13センチにも及ぶアシタカグモ。一般の家庭ではあまり遭遇しないかもしれません。
ゴミ屋敷にはこのアシタカグモが必ずいるのですが、その理由は、餌となるゴキブリがたくさんいるからです。
そのため、害虫であるゴキブリを捕食するアシタカグモは「益虫」と位置付けられています。
鰹節が大好物なのが名前の由来になっているヒメマルカツオブシムシ。
体長は4~5㎜くらいで、煮干しなど動物性の乾燥食品や、羊毛・絹を用いた衣類も好んで食べる虫です。
ゴミ屋敷にはヒメマルカツオブシムシの好物が散乱しているため、大量発生していることが多いゴミ屋敷特有の害虫になります。
チャタテムシはお米や小麦粉の中などに発生する虫です。
カビを餌にして繁殖するため、湿度が高くホコリが貯まるような環境に発生します。
ゴミ屋敷の通気性の悪さは、カビが発生する好条件。
小さくて茶色いチャタテムシが大量発生していることも多いです。
1位の虫に次いでよく見かけるのが、カミキリムシです。通称「テッポウムシ」とも呼ばれています。
一般的には雑木林や家の外にある樹木にいるのですが、カミキリムシの幼虫は、強いアゴを使って木を食べるのです。
また、カミキリムシは明かりに集まる習性があるため、民家に寄ってくる可能性もあります。
ゴキブリが好むのはジメジメと湿度が高く、通気性の悪い場所。
ゴミ屋敷の環境はゴキブリにとって非常に住みやすく、ゴミ屋敷とゴキブリはセットと言うくらいよく遭遇します。
大量発生というレベルであることも少なくありません。
ゴキブリの駆除だけで多くの作業時間を取られるほど、ゴミ屋敷でのゴキブリ害虫被害は深刻です。
ゴミ屋敷によく見かける虫は、正体が分かるため気になりません。
見たことがない、名前も知らない虫の場合、どういった特徴があるのかも想像つかないので、怖さを感じるものです。
ここでは、家に現れる可能性がある害虫を見ていきましょう。
何といっても見た目が気持ち悪い紙魚。
糊付けされた本の表紙や掛け軸などを好んで食べることから、その名前がついたと言われています。
湿度が高く、あたたかい場所を好むため、冬に見かけることが多いかもしれません。
また、紙魚は虫のなかでも寿命が7~8年と非常に長いことも特徴のひとつです。
ただし、刺すことも噛むこともないため人畜無害の虫になります。
・特徴:寿命が7~8年と長い (何も食べなくても10か月~1年生きる)
・家の中の生息場所:本棚やクローゼット、壁の隙間など
アリのようでアリではない⁈
黒とオレンジの色がなんとも不気味な「やけど虫(正式名称:アオバアリガタハネカクシ)」。
やけど虫は体液にペデリンという有害物質を持っています。
体液に触れてしまうと、火傷の痕のような症状が出るので、大変危険です。
基本的に屋外で生息するやけど虫ですが、光に集まる習性があります。
玄関灯や部屋の明かりに反応し、玄関や窓などから侵入してくるかもしれません。
網戸などに隙間がないか、確認しておくと良いでしょう。
・特徴:光があるところに集まる習性がある
・家の中の生息場所:街灯・玄関灯など光のある場所
見たものをぎょっとさせる、白いゴキブリ。
滅多に見られないレアな種類のゴキブリでも突然変異でもありません。
実は、黒くなる前の脱皮した直後のゴキブリなのです。
おそらくチャバネゴキブリ、またはクロゴキブリでしょう。
大量にゴキブリが発生しているゴミ屋敷では、ふ化直後の白ゴキブリに遭遇することもあります。
・特徴:脱皮した直後の姿。暗くて暖かい、湿度が高いところを好む
・家の中の生息場所:トイレやキッチンなどの水回り、冷蔵庫の裏など
ゴミ屋敷で見られる虫は、子どもたちが採集する昆虫とは違い、人に害を与える害虫と呼ばれるものです。
害虫は、人に与える害の種類によって以下の3つに分類されています。
特に厄介なのは、健康被害を与える衛生害虫です。
害虫の分類 | 与える害 | 代表的な害虫 |
---|---|---|
不快害虫 | 容姿や動きが奇妙で、いるだけで人間を不快させるものを指します。毒性があるなどの実害ではなく、心理的に不快感をもたらす害虫のことです。 | クモ、ヤスデ、ゲジゲジ等 |
衛生害虫 | 衛生上の害をもたらす害虫です。菌・ウィルスなどの病原体を媒介することで感染症・人の疾病の原因になるものを指します。 | カ、ハエ、ダニ、ハチ等 |
経済害虫 | 農作物や食品、家畜、家財などに害を与える虫で、経済上の損失の原因になるものを指します。 | シロアリ、コクゾウムシ、アブラムシ等 |
ゴキブリは3つの性質すべてを含む害虫です。下水、排水口、トイレといった不衛生な場所を移動しながら、家に侵入します。
不衛生な場所を通る際、さまざまな雑菌や微生物を体に付着させています。
なかには、食中毒の原因にもなるサルモネラ菌や、胃腸炎を引き起こす大腸菌といった菌もあるのです。
ゴキブリの死骸や糞などが粉塵となり、空気中に飛散すると、アレルギーや喘息を引き起こす可能性も。
害虫を野放しにしておくことは、健康被害のリスクを高めることになると言えます。
ゴミ屋敷の清掃をしていると、ゴキブリやカミキリムシといった虫はごくごく普通にいます。
数も一般家庭とはくらべものになりませんが、時間が経つと慣れてきてしまうものです。
人間の順応力は凄まじいものですが、それでも馴染むことができないのが未知の虫です。
記事では紹介した以外にも、得体のしれない虫に出会うことはよくありますが、ものすごく恐怖を感じます。
害虫と呼ばれる虫は、不潔な環境が生み出すものです。
ゴミはこまめに捨てる、食べカスはふき取るなど、ちょっとした心遣いを忘れずに、清潔な環境を保っていきましょう。