ゴミ屋敷の相談窓口6選

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ゴミ屋敷の相談窓口6選

近所にゴミ屋敷があっても、直接住人には言えないし…
誰に相談したらいいんでしょう?

ゴミ屋敷の場所やゴミの散乱状況によって適切な相談窓口が異なります。
主な相談窓口は6つあります。

えぇ、6つもあるんですか!?
ますます、どこに相談すればいいかわからなくなります。

そうですね。
今回はどんなケースのときにどの相談窓口を利用するのが適切かをみていきましょう。

1.ゴミ屋敷条例がある自治体なら『自治体』

【こんなケースのとき】

  • 住んでいる地域にゴミ屋敷条例がある
  • 近隣住民からの苦情・相談が寄せられている

ゴミ屋敷条例とは、各地方自治体が独自に定める「ゴミ屋敷に関する条例」のことです。
主に、住宅の維持管理が著しく損なわれており、交通や景観、健康面に支障があると判断された住居を対象としています。ゴミ屋敷条例は、残念ながら全ての自治体が制定しているわけではありません。
また、条例の内容も自治体によって異なります。

自治体の対応の主な流れは以下の通りです。

自治体のホームページや環境省環境再生・資源循環局 廃棄物適正処理推進課「平成29年度「ごみ屋敷」に関する調査報告書」や一般財団法人 地方自治研究機構「ごみ屋敷に関する条例」などで確認してみましょう。
条例が制定されている自治体は思いのほか少ないです。

条例が制定されている上で、ゴミ屋敷に関して住民から苦情や相談が寄せられることが必須条件となります。
苦情・相談を受けた自治体は、職員を現地に派遣し調査をおこないます。
管理が不全な状態であると判断されれば、ゴミの撤去や整理などについてゴミ屋敷の住人に指導や勧告がおこなわれます。

ゴミ屋敷の住人が勧告に応じない場合は、自治体は該当住居の住人に環境改善の命令を出します。

それでも命令に従わない場合は、最終手段として行政代執行がおこなわれるのです。その際にかかる費用は、ゴミ屋敷の住人が負担します。

ゴミの撤去までかなり長期戦になる可能性があることを理解しておきましょう。

2.交通の妨げになっているなら『警察』

【こんなケースのとき】

  • 道路交通法違反
  • 動物愛護法違反

地方自治体以外で公的な相談窓口となるのが、「警察」です。

ただし、ゴミ屋敷が近隣住民の迷惑になっているからといって、どんな場合でも対応してくれるわけではありません。

警察は公的な組織ゆえに、法に則って動いています。
つまり、法的に違反している状態があれば、警察も動く理由ができ、対応してくれる可能性が高まるのです。

では、どのような法律違反であれば警察が対応してくれるのでしょうか。

 違反とされる法律状況
1道路交通法●ゴミ屋敷から屋外にゴミがあふれ出している
●公道にゴミが置かれて交通の妨げになっている
2動物愛護法●ゴミ屋敷内でペットが飼われている
●ペットが生活するための十分な飼育がされていない

例えば、ゴミが道路まではみ出しており交通の妨げになるような状態であれば、「道路交通法違反」で検挙することは可能となります。

また、ゴミ屋敷にペットがおり、動物飼育放棄が起こっている場合は、「動物愛護法違反」で逮捕することが可能になります。

このように、法律違反が発覚すれば、警察はゴミ屋敷の住人に対して動いてくれるでしょう。

しかし、公道にはみ出しているゴミ以外は強制的に撤去することはできません。
なぜならば、警察は民事不介入の原則があり、ゴミ屋敷トラブルは住民同士の民事事件に当たるため、基本的には手を出せない案件となるのです。

警察は法律違反、もしくは実際の被害がないと、ゴミ屋敷問題への介入ができないことに注意しておきましょう。

3.火災の危険性があるなら『消防署』

【こんなケースのとき】

  • 消防法違反

消防署は火災の消火以外にも、火災を未然に防ぐための活動もおこなっています。
火災の危険性がある場所であれば、事前に相談しておくことで見回りを強化するなどの対応をしてくれます。

ゴミ屋敷は可燃性のゴミが放置されているため火災や放火が起きる可能性が高く、燃え広がるのが早く被害が広がるリスクが上昇します。そのため、消防署にゴミ屋敷の存在を伝えておくと、ゴミからの自然発火や放火の危険性を、ゴミ屋敷の住人に説明・指導してくれます。

消防署も警察と同様、基本的に消防法に違反していない限りは直接的に取り締まることができません。
消防法とは、「火災を予防し火災から国民を保護し、被害を軽減することを目的とした法律」です。

消防法に抵触し、罰則が発生するような例は、以下のような内容です。

消防法違反となる内容罰則
屋外の火災の予防や消防活動において、障害となる
物の除去命令に従わない場合
30万円以下の罰金、または拘留
消防設備等設置の命令に従わない場合1年以下の懲役、または100万円以下の罰金

上のような内容でなければ、消防署の対応はあくまでもゴミ屋敷住人へ火災や放火の危険性の説明や指導程度となります。消防署に相談する際は、強制的にゴミを撤去することはできないということを、知っておかなければなりません。

ただ、消防署からの注意や指導は、近隣住人からの苦情よりも効果が見られる可能性が高いため、火災の心配がある場合は相談窓口として利用しましょう。

4.賃貸物件なら『大家・管理人』

【こんなケースのとき】

  • 賃貸物件

賃貸物件のアパートやマンション内にゴミ屋敷の住居がある場合は、「大家や管理人」に相談するのが良いでしょう。

集合住宅にゴミ屋敷があると異臭や害虫の被害を受けやすいため、直接ゴミ屋敷の住人に注意する方もいます。
しかし、大抵の場合は相手にされない、もしくは注意されたことに腹を立てて嫌がらせなどの被害に発展するため、住人との直接対話は避けるべきです。

大家や管理人は、相談すればゴミ屋敷の住人への対応を受け持ってくれるでしょう。
しかし、大家や管理人も、ゴミ屋敷のゴミを住人の許可を得ずに片付けることはできません。
なぜなら、ゴミがその住人が住んでいる敷地内にある以上は所有権があるためです。
勝手に持って行ったり撤去したりすると法律違反になります。

大家や管理人はゴミ屋敷の住人へ退去を勧告することはできますが、その建物を管理する立場であっても、強制的にゴミを撤去する権利はないことを覚えておきましょう。

5.実害が出ているなら『弁護士』

【こんなケースのとき】

  • ゴミ屋敷のゴミが私有地を超えてきている
  • ゴミ屋敷の住人が騒音を出している
  • ゴミ屋敷の住人とトラブルになり、嫌がらせを受けている

警察は民事不介入の原則がありますが、弁護士では民事事件に関わることができます。
弁護士に相談する際は、実際に被害が出ていることが前提となります。
どのくらいの被害がどのように生じているのか、証拠を集めていたほうがスムーズに話は進むでしょう。

また、ゴミ屋敷近隣の住民と協力して報告書等を作成しておくと、複数人の総意として被害を認められる可能性が高くなります。

弁護士に相談する場合は、基本的に相談の時点から費用が発生することがほとんどです。
地域によっては時間制限を設けて無料の相談会をおこなっている場所もありますが、正式に弁護士に依頼することが決まれば、やはり費用がかかってきます。

そして、依頼したからと言ってすぐに調停、訴訟手続きとなるわけではありません。
まずは話し合いや交渉から始まり、解決しない場合は調停や訴訟の手続きに移っていきます。

このように、弁護士に相談した場合、解決までに時間と費用がかかることを覚悟しておきましょう。

6.清掃できる段階になれば『特殊清掃業者』

【こんなケース】

  • ゴミ屋敷の住人と話し合い、ゴミを片付けることになった
  • ゴミ屋敷の住人だけでゴミ屋敷を片付けるのは難しい

ゴミ屋敷を安全かつ迅速に片付けるには、専門の清掃業者に相談するのが良いでしょう。
そうすることで、通常の清掃では落ちないこびりついた臭いの除去や、害虫の駆除なども相談することができます。ゴミ屋敷の清掃は消臭や害虫駆除などの特別な対応が必要なため、事故物件やゴミ屋敷の清掃などを専門とした「特殊清掃業者」を選ばなければなりません。もちろん、特別な対応に応じて費用が高くなります。

依頼をする際は必ずできる範囲の予算を伝え、状況にあった見積もりを出してもらいましょう。

まとめ

今回は、ゴミ屋敷を相談する6つの窓口についてみてきました。
どのような状況のときどこに相談できるかがわかりました。
自治体にゴミ屋敷に関する条例があるかないかは大きなポイントです。

  1. ゴミ屋敷条例があるなら『自治体』
  2. 交通の妨げになっているなら『警察』
  3. 火災の危険性があるなら『消防署』
  4. 賃貸物件なら『大家・管理人』
  5. 実害が出ているなら『弁護士』
  6. 清掃できる段階になれば『特殊清掃業者』

そもそも、「ゴミ屋敷」とはどのような家なのか、明確な定義が決まっているわけではありません。
住人がゴミをゴミだと思っていなければ、いくら住民同士で話し合ったとしても解決どころかトラブルに発展してしまう場合もあります。

しかしながら、ゴミ屋敷は放っておくと悪臭や害虫、火災や感染症など、さまざまな被害を引き起こす可能性があります。できるだけゴミ屋敷の住人とトラブルを起こすことなくスムーズに解決するためにも、適切な相談窓口を選択することは重要なのです。

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