家具を動かしたら後ろの壁にカビが生えていたんです。
掃除や除湿をしているのに室内にカビが生えてしまうなんて…
カビは水回りだけでなく、壁や床、天井など部屋の中にもできるものです。
今回は室内のカビを取る手順をみていきましょう。
もくじ
カビの生えた部屋で生活していては、気持ちが悪いばかりか健康にも悪影響が及ばないか心配になります。
まずは部屋の中に生えてしまったカビを除去する方法を、しっかり押さえておきましょう。
部屋の中に生えてしまったカビを除去するポイントは、
の2点です。
この2点を踏まえてカビを除去する手順をみていきましょう。
カビを正しく除去するには、まずは部屋の換気をおこないます。
換気をしないと、カビは同じ部屋の中の別の場所に引っ越しをするだけになるからです。
部屋の中にできたカビ除去をする際の換気は、次のようにおこないます。
窓を開けることで、カビを除去したい部屋の空気を入れ替えます。
窓が一つの部屋の場合 | 扇風機を窓の外に向けて回します。 |
窓が複数ある部屋の場合 | できるだけ対角線上にある窓を二つ開けます。 |
窓がない部屋の場合 | 換気扇を回します。 |
なお、カビは高い湿度を好むため、雨の日には窓を開けてのカビ除去はおこなわないでください。
かえって部屋の中の湿度が高くなり、カビの好む環境を作り出してしまいます。部屋のカビを除去する場合は、できるだけ晴れた日の日中に、乾燥した空気を取り込みながらおこなうことが原則です。
窓のない部屋で換気扇がある場合は、換気扇を利用して空気の入れ替えをします。
空気の入口と出口の両方を確保することで換気効率が良くなるため、ドアを開け、隣接する部屋や廊下の窓を開けた状態でおこなうと、よりきれいな空気が入ってきます。
部屋の中でも特にクローゼットなど窓も換気扇もついていない場所では、扇風機を回して風を送りながらカビ除去をおこないます。
その際、クローゼットの中にあるものは事前にすべて出しておきます。
そしてカビの生えている箇所に直接風が当たらないように、扇風機の角度を調整してください。
カビ除去のポイント1「カビを広げない」ことを念頭に、換気をして空気を入れ替えながらカビ除去をおこないます。換気によってカビの胞子を追い出すことができるだけでなく、この後に使用する薬剤の吸い込みによる危険を回避することもできます。
できるだけ大量の新鮮な空気との入れ替えをおこなうことが、部屋のカビを除去する第一歩です。
換気をしたら、次にカビが生えている場所のある部屋全体の掃除をおこないます。
なぜなら換気と同様、カビが生えている場所以外の掃除ができていなければ、カビはそちらに引っ越すだけになるからです。
カビは目には見えない胞子を放出しますが、この胞子はほこりや汚れに付着することで栄養を得て成長し、増殖していきます。
カビ除去のポイント2「カビの栄養を残さない」ことを念頭に、まずはカビ除去をする部屋全体から、カビの栄養となるほこりや汚れをなくすことが先決です。
特に、窓際の結露など水分が多くある箇所は、しっかりと拭き取っておいてください。
カビ取り剤の多くは、カビを除去したい場所に水分があると、カビの死滅効果が半減してしまうからです。
部屋の換気と全体の掃除が終わったら、いよいよカビ取り剤などを使ってのカビの除去に取りかかります。
ここで注意したいのが、市販のカビ取り剤の多くは、基本的に使用後に薬剤を水で洗い流す必要があるため、部屋の中のカビ除去には使うことができないということです。
では、水洗いが必要なく有効な薬剤はどんなものがあるのでしょうか。
種類 | 有効濃度 | 表記成分名 |
エチルアルコール | 80.00v/v%(80%) | エタノール、アルコール、発酵アルコールなど |
次亜塩素酸水 | 400ppm(0.04%) | 次亜塩素酸、次亜塩素酸カルシウム、 ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなど |
どちらも使える場所は幅広く、家中のいろいろなところに使えます。
使える場所 | 注意点 | |
エチルアルコール | リビング、キッチン、 食品、家電、子供部屋、 おもちゃなど | ・引火性があるため火気を使用している周辺では使わない ・アルコールでかぶれる人は使わない ・揮発しやすいため手早く使う |
次亜塩素酸水 | リビング、キッチン、 家電、子供部屋、 おもちゃなど | ・製造時または水溶液作成時をピークとして、 除菌力は時間と共に下がっていく |
適切な濃度に希釈した上記の薬剤のどちらかを、清潔な布に充分に染み込ませたもので拭き取りをします。
どちらの薬剤も、大量に吸い込んだり誤飲したりすると危険なので、正しく計測して有効濃度を守って使用してください。
また、エチルアルコールは濃度が80%を超えてしまうと、かえってカビに対する殺菌効果が低くなってしまうので、こちらも適正濃度の範囲で使うようにします。
カビを死滅させたら、しっかりとその死骸を取り除きます。
これはカビ除去のポイント2「カビの栄養を残さない」にあたるものです。
カビの死骸が残っていると、死骸そのものがまたカビの栄養源になってカビが再発してしまいます。
カビの死骸は、次のような方法で取り除きます。
凹凸のある壁紙や部屋の四隅など、薬液を含ませた布で拭き取ることのできなかった部分は、残っているカビを含んだ汚れを、柔らかいブラシや刷毛などを使って掻き出します。
硬いブラシでは素材の表面に傷がついてカビの隠れ家を作ってしまうので、ブラシは必ず柔らかいものを選んでください。また、使い古しの歯ブラシなどを使う際には、必ずよく洗浄してから使ってください。
なお、部屋の中のカビに使えるカビ取り剤には基本的に漂白効果はないので、カビの死骸は取れても、カビの色までは取ることができません。
どうしてもカビの色素を取り除きたい場合は、塩素系や酸素系のカビ取り剤を薄めた溶液を作り、清潔な布に含ませて色を取りたい箇所にポンポンと叩き込みます。
カビ除去したいものによって、以下の漂白剤を使い分けてください。
液性(ph) | 脱色力 | 使い方 | |
酸素系漂白剤 | 弱アルカリ性 | ◯ | 色柄物にも使用可能 |
塩素系漂剤 | アルカリ性 | ◎ | 白物以外使用不可 |
どちらの漂白剤も、使用した後は水拭きをして、薬剤が残らないようにします。
部屋に生えたカビを掃除する際に、ついやってしまいがちな以下の方法は、一時的にカビを除去することができても、実はカビを拡散させたり再発させたりする可能性が高いやり方です。
誤ったカビ掃除 | 影響 |
カビ取り剤をカビに直接吹き付ける | スプレー等の勢いでカビを周囲に拡散させる |
カビを水拭きする | カビを周辺に拡散させる |
カビに掃除機をかける | カビを空気中に拡散させる |
カビに直接ドライヤーを当てる | 強い風でカビを周囲に拡散させる |
カビの死骸を残したままにする | カビの栄養源になって成長を促進する |
せっかくきれいにカビ除去をしたのに、すぐに再発したり別の箇所にカビが現れたりするのは、
このような掃除をしているからかもしれません。
ぜひ一度振り返ってみてください。
せっかく除去してもカビが再発しては残念です。
カビが生育しやすい環境をなくすことで、カビを発生させなかったり、成長を止めたりすることができます。
カビが生育しやすい環境は、以下の3つです。
カビの好む栄養がある | 毛、フケ、アカ、爪、食品、油脂、花粉やダニの死骸など |
カビの好む湿度である | 64%〜94% |
カビの好む気温である | 25度〜28度(0度〜40度で生育可能) |
このうち、カビの好む気温を避けて暮らすことは現実的でないため、カビの好む栄養や湿度を避けることで、カビが生育しやすい環境をなくしていきます。
具体的にどんなことをすればいいのでしょうか。詳しくみていきましょう。
カビの胞子は空気中を漂い、ほこりや汚れがあるとそこに付着して栄養を得ます。
まずは部屋の中にほこりや汚れを溜めないことが何より大切です。
ほこりを見つけたり、壁や床を汚してしまったりしたら、その場ですぐに処理しましょう。
拭き掃除の際に、STEP3:部屋に発生したカビを死滅させるで紹介した薬剤を使うことも非常に効果的です。
薬剤を使った拭き掃除によって、たとえカビの胞子が壁や床に付着しても繁殖することを抑えられるため、カビは発生しにくくなります。
カビは湿度の高い環境を好みますが、逆に湿度が60%以下になるとまったく生育できなくなります。
窓のない部屋ではエアコンをつけたり換気扇を回すほか、クローゼットなどエアコンのない空間では扇風機を回すなどしてこもった空気を入れ替えたり、除湿剤を利用することで湿度を60%以下に押さえましょう。
ただし、除湿剤に溜まった水を放置すると逆効果になるため、水が溜まったらすぐに取り替えてください。
カビの好む水分や湿気をしっかり取ることで、カビは生育できなくなります。
部屋の中の水分や湿気を取るには、次のことを心がけてください。
水分や湿気を取った後に、前に述べた薬剤をスプレーでさっと吹き付けておくことで、
さらに除菌効果が高まります。
今回は室内に生えたカビの除去についてみてきました。
カビを除去する4ステップは
でした。
そして、カビを除去した後再発させないための予防策は
の3つでした。
この記事に従って正しくカビ対策をしてもカビが繰り返すという場合には、業者に依頼して根本的な理由を見つけてもらい、徹底除去してもらいましょう。
正しい対策をしても部屋の中にカビが再発してしまうのには、次のような原因があるかもしれません。
このような状態では、どんなに強力なカビ取り剤を使ってカビ除去をおこなっても、その場凌ぎにしかなりません。
アレルギーや喘息などのカビを原因とした健康被害を引き起こす危険性が高いため、早めに業者に相談し、根本的なカビ除去をしましょう。