ときどきテレビでゴミ屋敷のことをやっていますが、
画面ではわからないけど虫なんかも多いんでしょうねぇ…
ゴミ屋敷には生ゴミや食べカスが放置されていますから、虫が発生しやすいです。
気持ち悪いだけでなく、健康被害も起こりますよ。
もくじ
ゴミ屋敷にハエやゴキブリが発生することは簡単に想像できるでしょう。
ハエやゴキブリは病原菌やウィルスを媒介し、人に健康被害を与える衛生害虫に分類されます。
ハエは、胃がんや潰瘍の原因となるピロリ菌を運んでいるという研究結果も報告されています。
自らの健康被害だけではありません。
近隣住民とのトラブルや、賃貸の場合は退去時の高額請求など、長期的な問題に発展する可能性もあります。
なぜ家の中に虫が発生するのでしょうか。ゴミ屋敷に虫が発生しやすい3つの原因をみていきましょう。
ゴミ屋敷に害虫が多いのは、餌である生ゴミや汚れが豊富だからです。
ハエやゴキブリ、チャタテムシなどの害虫は、食事の残飯や食べこぼし、調理時に出た野菜や肉の切れ端などの生ゴミを食べて生活します。ゴミ袋に入ったままの生ゴミが腐敗すると、臭いを嗅ぎつけた虫が集結。
ゴミの量が増えれば増えるほど、虫の数も増える傾向があります。
さらに、排水口の汚れを好む虫も多いので、キッチン周りは特に害虫が発生しやすい場所です。ゴキブリやハエを見るのは、台所周りが多いですよね。
水回りが不衛生で部屋中に食べカスが落ちているゴミ屋敷は、虫の餌が常に充実している状態。ゴミ屋敷にいれば、餌に困らないため、いろいろな虫が次々と集まって来てしまうのです。
ゴミ屋敷は、虫が隠れられる場所が多いことも、発生原因の1つです。
家の中にやって来た虫たちも、人間に簡単に駆除されたくはありません。
そのため、通常は冷蔵庫の後ろや食器棚の片隅など、人に見つかりにくい隠れ場所を探します。
しかし、床一面にゴミが広がっているゴミ屋敷は、すでに虫が人間に捕まらないよう身を隠しやすい環境です。
長年敷きっぱなしになっている布団や、捨てずに放置されているゴミ袋の下、散らかっている書類の隙間など、虫は家中どこにでも隠れられます。
そのため、家の中に虫が潜んでいても、気づかずに放置してしまうこともしばしばです。
少し物を持ち上げたら、害虫がびっしり、という状況はよくあることです。
ゴミ屋敷は、長期間掃除をしていないため、虫が繁殖してしまいます。
食べかけのごはんや、食べ終わった弁当の容器に虫が集まってきても、すぐにゴミを捨てれば、その場から虫はいなくなります。
しかし、ゴミを片付けずに放置している場合、虫はその場にとどまり、産卵することもあります。
そして、卵がかえって成虫になり、その虫がまた卵を産み、悪循環が生まれます。
コバエなど、虫の餌となる虫も増えることで、どんどん害虫たちが増加してしまうのです。
ハエは産卵からわずか2週間ほどで成虫に変態します。
また、ゴキブリは1匹いれば100匹いるとよく言われますが、1匹のゴキブリのメスは一生に500匹もの子どもを産みます。害虫は繁殖能力が高いので、しばらく掃除をしていないゴミ屋敷は、あっという間に家中が虫だらけになってしまいます。
ゴミ屋敷に虫が発生しても、人体に害がないなら気にしないという方もいるかもしれません。
しかしゴミ屋敷の害虫は、人間に健康被害を与えます。
ゴミ屋敷に住む害虫は、腐った生ゴミや排水口など、不衛生な場所を移動しているので、さまざまな病原菌が付着しているのです。
ハエやゴキブリが大腸菌やサルモネラ菌、赤痢菌などを媒介し、人間にうつす例もあります。
ハエやゴキブリが運ぶ病原体と、かかりやすい病気の症状は以下の通りです。
病原体の種類 | 症状 |
サルモネラ菌 | おう吐や下痢、発熱、腹痛、消化器系の症状が出る |
ピロリ菌 | 胃もたれや吐き気、腹痛を繰り返す。 胃炎や胃がんの原因となる |
赤痢菌 | 初期に1〜2日程度の高熱、激しい下痢や発熱、血便をもよおす |
A型肝炎ウイルス(HAV) | 平均28日間の潜伏期間ののち、発熱や頭痛、食思不振、 嘔吐、黄疸などの症状が現れる |
また、虫の死骸やフンが空気中に漂うことで、皮膚のかゆみや湿疹、喘息や気管支炎など、皮膚・呼吸器系のアレルギーを引き起こすこともあります。
これらの病気は、直接ゴキブリやハエを素手で触っていなくても、発症する可能性があります。
ゴミ屋敷の虫は、見た目が不快なだけでなく、人体に害を及ぼすリスクがあるため、放置し続けてはいけません。
ゴミ屋敷に現れる虫の種類や、放置することによる問題はわかりましたが、「この程度の虫の数ならまだ大丈夫だろう」と油断している人がいるかもしれません。
手遅れになる前に、今の状況がどの程度深刻なのかチェックしてみましょう。
まずゴミ屋敷の虫は、不快害虫・衛生害虫・経済害虫の3つに分類されます。
分類 | 説明 | 代表的な虫 |
不快害虫 | 毒性や人に危害を与えることはないが、 心理的な不快感を与える害虫 | クモ・アリ・ヤスデなど |
衛生害虫 | 病原菌やウィルスを媒介し、人の疾病の 原因となるなど、衛生上の損害を与える 害虫 | ゴキブリ・ハエ・ダニ・蚊・ノミ・ シラミ・ハチなど |
経済害虫 | 家財や食品などに害を及ぼし、経済的な 損失を与える害虫 | シロアリ・ヒメカツオブシムシ・ チャタテムシ・シミ・アブラムシなど |
ちなみにゴキブリは、不快害虫・衛生害虫・経済害虫の3つすべてに該当します。
衛生害虫と経済害虫が発生したら、危険度が高いと考えましょう。
不快害虫・衛生害虫・経済害虫の3種類の中で、もっとも警戒すべきは衛生害虫です。
衛生害虫が増えると、自らの健康状態を悪化させる可能性が高いためです。
また、経済害虫が増え、壁や畳、家具の虫食いやフンによる汚れなどが発生すると、修繕費がかさんでしまいます。
では実際に、深刻な害虫被害を受けているゴミ屋敷は、どの程度存在するのでしょうか。
日本都市センター研究室による「都市自治体の「住居荒廃」問題に関するアンケート 集計結果」では、「いわゆるゴミ屋敷」594件について調査をしています。
害虫被害の進行度などでレベル分けした件数は、以下の通りです。
レベル | 状態 |
レベル1 | 病害虫やネズミ等の存在がうかがわれる ※その他の項目省略 |
レベル2 | 病害虫やネズミ等が容易に目視できる ※その他の項目省略 |
レベル3 | 病害虫やネズミ等が蔓延している ※その他の項目省略 |
例えば、「毎日のようにハエやゴキブリを見る」「ヒメカツオブシムシやチャタテムシなど、今まで見たことのない種類が現れた」という場合はレベル2、「家中の至る所にハエの群れがたかっている」「物を持ち上げたら虫がびっしりついていた」「ウジ虫が湧いている」のような場合はレベル3と考えてよいでしょう。
アンケート結果によると、ゴミ屋敷の約半数がすでにレベル2以上の深刻度であることがわかります。
レベル2・3のゴミ屋敷は、害虫の数や発生頻度から、かなり不衛生な環境です。
病気にかかる可能性が高いので、急いで対処してください。
ゴミが膝丈まで溜まり、2〜3種類以上の虫が毎日のように発生している状況では、市販の殺虫剤を撒いただけでは、効果が薄かったり一時的だったりします。
そのため、害虫発生の原因を根本から断ち再発を防ぐためには、家の中のゴミをすべて片付けて害虫を駆除し、除菌・消臭まで徹底的におこなう必要があります。
これらを自分1人でやるには、かかる時間や労力も膨大です。
そこで、多少の費用はかかりますが、掃除業者に依頼しましょう。
専門の業者に依頼すれば1日で、希望によっては一晩のうちに、確実に嫌な害虫を駆除できます。
ウジ虫がいるということは、腐った生ゴミが放置されているということです。
間違いなく、ほかの害虫も住みついています。ひどい悪臭や家財被害も発生しているでしょう。
ここまでくると、ゴミや不用品を片付けるだけでなく、「特殊清掃」が必要です。
特殊清掃とは、通常のハウスクリーニングで取りきれない汚れや悪臭などを除去するための清掃方法で、オゾン燻蒸や薬剤噴霧などの特殊な技術を使います。
特殊清掃業者は、国内に数多くありますが、許可や資格なしで営業している会社も存在しているのが事実です。
清掃を依頼する場合は、実績豊富で優良な業者を選ぶことが重要です。
「女性のみで作業してほしい」「立会いなしで完了させたい」など、さまざまな要望に対応している業者もあります。まずは、お近くの特殊清掃業者を調べてみましょう。
今回はゴミ屋敷に発生する害虫とその被害についてみてきました。
ゴミ屋敷に虫が発生する3つの原因は
でした。
発生した害虫を放置すると健康に被害が及びます。ハエやゴキブリが運ぶ病原体には
などがあります。
また、ゴミ屋敷の害虫は
の3つに分類されます。
衛生害虫と経済害虫が発生したら危険度が高いといえます。