特殊清掃現場では、孤独死の現場の清掃や消臭の話ばかりが取り沙汰されておりますが
そこには絶対家財を撤去する【遺品整理】も付随されます。
本日は遺品整理と特殊清掃の記事です。
もくじ
2017年読売新聞が初めて全国の孤立死者数の調査を行い、今回の調査に対して回答された自治体は、19道県と東京23区より回答が出された。
そもそもなぜ19道県と東京23区のみからの回答であったのか?
ここには、孤立死・孤独死の定義が曖昧であることから、各自治体での統計が取れていない点に問題があるのかと感じます。
今回の調査では、年間17,000人の方が孤立死されていたと発表されており、この内7割の方が65歳以上であることが調査の上で判明したとされております。
更に、当調査での19道県と東京23区では、全国の年間死亡者数の約38%を占めており、当該自治体これを基に全国での孤立死者数を単純計算すると、約46,000人となる。
全国の死亡者数の内、30人に1人が孤立死されていることが伺えます。
孤独死が発生しますと、孤独死を清掃する特殊清掃もですが、付随して故人の方の家財の処分も出てきますので、同じ件数だけ遺品整理も発生するのです。
年間を通して、孤立死・自殺絶え間なく発生してしまっていることは、前述の内容からお分かりいただけるかと思います。
春には自殺、夏には脱水・熱中症等から、冬場はヒートショックなどから、お亡くなりになられます。
しかし、孤立死の発見原因は、音信不通・訪問時の異変により発見されたケースが全体の54.6%で、発見までの平均日数は13日間となっている。
次に、異臭により発見されたケースは、全体の23.5%で、発見までの平均日数は24日となっています。
世の中では、地域包括ケアシステムなど地域全体で関りを持ち、見守りや医療に対して様々な取り組みをされているが、根本的に毎日一人ひとりの状況を把握していく事は困難であり、特に冬場は、お亡くなりになっていてもなかなか大きな変化がない事などから、死後発見までに日数が経過してしまう状況となります。
但し、孤立死の発見原因の23.5%を占めている異臭からの発見については、春先から夏場に集中してきます。気温が上がってくると、ご遺体の腐敗進行状況が早く、死臭や虫の発生が死後2日から3日ほどで始まってしまいます。
冬場は気温が低い為に、死後発見までに日数が経過していても、大掛かりな特殊清掃を要しないケースが多くなりますが、夏場については、死後2日から3日ほどで腐敗が始まり、室外へ臭いが漏れたりハエの大量発生等から近隣住民の苦情や警察への通報・発見へとつながります。
しかしながら、発見までの平均日数が24日となっている背景には、徐々に臭いや虫が発生してくるので、近隣の方は、「なんかいつもと違う臭いがするね。」「最近ずっと臭いね。」「最近ハエが良く飛んでるよね。」「この臭いとハエって異常じゃない?」と、日に日に増してくる異常から、発見の平均日数が伸びてしまっています。
年間を通じて孤立死・自殺絶え間なく発生しておりますが、ご遺体の腐敗の進行レベルが夏場は早く、死後2日から3日ほどで血液・体液が流れ出てしまう為に、1年間の内、5月から10月(特に7月から9月)に特殊清掃のご相談・ご依頼が増えてしまいます。
特殊清掃と遺品整理をなぜセットで考えるのか?答えは大きく言うと一つ!
【遺品整理も消臭作業の一工程だから】です。
では遺品整理が消臭作業の一環な理由を説明してまいります。
特殊清掃現場の遺品には腐敗臭がしみ込んでいる!
上記の写真のように、特殊清掃現場では、室内にある物で、大気に直接触れている物は全て腐乱臭がしみ込みます。
その為、壁や天井のクロスでさせも剥ぎ取る事がほとんどであります。
ですから、特殊清掃現場の遺品は腐乱臭がしみ込んでいる事は間違えがありません。
消臭を行う為に臭いの発生元である、遺品を整理しなければ消臭が進まないのです。
だからこそ特殊清掃遺品整理の発生はセットと考えておいた方が良いでしょう!
特殊清掃も遺品整理も必要となる状況で、特殊清掃はプロに依頼しないとどうしようもない!
けれど、遺品整理は自分たち遺族で行いたいという方も多くお見えです。
ケースによって様々ですが、ここでは、それぞれの状況・要望に合った対応方法を書かせて頂きます。
汚染されたお部屋などに入る事は、臭いや虫、二次感染の可能性もあり大変危険であり、その為お部屋に入室できる状態にすることが大切です。
遺品の整理をしていただく前に、お部屋の除菌や一次消臭(粗消臭)をする事が不可欠であるので、まずは専門業者へ相談をしていただく事が重要であります。
室内の確認・対処方法などをご確認頂き、ご遺族様が入室できる状態にする行程として、「お部屋の除菌」「虫が発生している場合は虫の除去」「汚染物の撤去」「一次消臭(粗消臭)」とい作業を行います。
この特殊清掃の部分は、専門知識のある特殊清掃業者に依頼する方が9割だと思います。費用も7万円~10万円くらいが相場の用です。
プロに特殊清掃を依頼して、入室できる状態になったら以下の手順で遺品整理を行うとスムーズです。
ご遺族様にて仕分け等をしていただいたあとは、家財等の搬出を行います。
番外編としては、ここからまた特殊清掃業者に依頼して消臭を行う事も可能です。
その後はお部屋の本格的な清掃・消臭が必要になってきます。理由として、共同住宅等であればお部屋の退去をするにあたり大家さんや管理会社様の定められる「お部屋の原状回復(が出来る状態)」をしなければなりません。
しかし凄惨な現場であればあるほどご遺族様では対応が難しいのでそういった部分についても専門業者に相談をしてください。
原状回復にあたり「汚染箇所の撤去(床や壁紙)」「オゾンショックトリートメント法に基づく本格消臭」を行います。
これらは特殊清掃の技術を磨いたプロにしかできないことです。
それらが済み、無事お引渡しをさせていただける状態になりましたら精算をして完了です。
以上の点を専門の業者に伝えると、対応がスムーズです。
また、遺品整理の内容についてもお伝えください。
「特殊清掃→遺品整理」の場合・・・
「遺品整理作業のみ」の場合・・・
フローリングやクッションフロアの場合は、部分解体or全面解体を行います。
フローリングについては切り出し撤去し、体液等がその下の骨組みにも浸みているのであれば合わせて解体をし、クッションフロアについては、床面から剥がします。
剥がした下部分の形状により、コンパネや骨組み等の露出・浸み出しがあれば解体、コンクリート上であれば汚染部分のコーティングをします。
畳の場合は、汚染された畳の撤去をします。
畳の撤去をしたのち畳の下まで汚染部が浸みていたら上記同様の作業を行います。
ベッドの上、汚染された物の撤去(お布団、枕、マットレス等)マットレスやお布団から血液・体液が漏れ出てしまわない様に、ラップや布団圧縮袋等で密閉をし、ベッドの下まで血液・体液が浸みていた場合は上記同様に、部分解体・全面解体を行っていきます。
浴室・トイレは配管の詰まりがあるかの確認をして臭いが発生している場合は特殊な薬剤を用い、詰まりの解消をさせます。
清掃も特殊な薬剤を用い、汚染部及び汚染拡散部位の清掃を行います。
その他、押入れや土間等の場合もあるが、基本は汚染されている物については撤去し、清掃をする。
素材や状況等それぞれに合った薬剤を使用し清掃をしていく内容となります。
・特殊清掃
パック料金設定のある会社→\70,000~\100,000
一次消臭の場合パック料金を使う事がある。また、汚染範囲・害虫の有無などにより金額は上下します。
完全消臭の場合、家財の有無などにより変わるが仮に家財が無い場合は\200,000~(部屋の大きさ・間取りによって上昇する)
実例:1R・孤立死・死後二週間・害虫有り クロス・フローリングの撤去
フルクリーニング オゾン脱臭3日間 作業人工代
合計→\250,000
・遺品整理
間取り・物量・改装・搬出経路などにより金額は変わる。
また、買取り・リユース・リサイクルがあれば金額は下がる可能性がある。
作業人工代、片付け梱包費、撤去費用(一般廃棄物など)、家電リサイクル料金
特定器具の取外し・交換(エアコン、トイレの便座、市営団地の風呂釜、物置解体、処理困難物【水物、ガス管・消火器など】
実例:1R・単身世帯・テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ベッド・ダンボール10箱程度なら\70,000(ただし、買取り・リユース・寄付などで下がる可能性もあります)
・特殊清掃
・遺品整理
少なからず、突然の事でパニックになっていることと思いますが、上記の内容に注意をして、依頼する業者選定を行ってください。
孤立死・自殺の発生で、突然警察からの連絡が入り、緊急を要するような特殊清掃でありますが、特殊清掃と同時に遺品整理を行う事も必須になってきます。
そんな中で、ご遺族様の想いとして、「遺品整理は自分たちで行いたい」と思いの方も少なくありません。
特掃隊加盟事業者では、ご遺族様の想いをしっかりと受け止め、最善の方法を提案させて頂く業者の集まりであります。
特殊清掃方法・消臭技術・遺品整理時での貴重品の取扱いなど、トラブルが多発してしまっている業界でもあります。
緊急を要するときこそ、「どこの業者でもいいから・・・」ではなく、技術・許認可・コンプライアンス体制が整っているのかの確認をお願い致します。