孤独死が問題になっているそうですが、本当にそんなに多いのですか?
もし自分が発見者だったらどうしよう。きっと、パニックになりますね。
孤独死は誰にでも起こり得ることですよ。
だからこそ孤独死として発見されるとどうなるのかを知り、孤独死に備える対策が必要です。
なるほど、自分には無関係だと思わずに、普段から考えて備えておく必要があるのですね。
もくじ
まず、一般社団法人日本少額短期保険協会の「第5回孤独死 現状レポート」(2015年4月~2020年3月までの孤独死のデータを集計)をもとに孤独死についてみていきましょう。
孤独死が発見されるきっかけは、当事者と音信不通になり訪問をするケースが51.3%と圧倒的に多く、次に多いのが、異臭や虫の発生、水漏れなどの居室の異常です。家賃滞納や郵便物の滞溜は、建物の管理会社や大家さんが異変に気づくポイントです。
孤独死の第一発見者は、アパートやマンションの管理人や親族であることが多いです。次いで、福祉関係者や友人など当事者と関係のあった人たちが、音信不通などをきっかけにおかしいと思い、部屋を訪れたり警察に連絡をしたりして孤独死の発見に至ります。
内閣府が公表している「平成30年版高齢社会白書」では、孤独死を身近に感じる一人暮らしの60歳以上の割合が30%を超えていることが分かっています。今や孤独死は誰にでも起こりうる身近な問題です。孤独死のきっかけや現状を把握できたところで、孤独死を発見したときどうすればいいのか具体的にみていきましょう。
参考:内閣庁「平成30年版高齢社会白書」
独死を発見したときの初期対応は、下記のいずれかになります。
次のように、明らかに死亡していることが確認できない場合、まずは救急車を呼びます。
119番に連絡すると、司令員が正確な情報を得るために
などを聞くので、質問に沿って答えていきます。救急車は平均7.9分で到着すると言われています。落ち着いて待機し、救急車が到着したら救急隊員の指示に従いましょう。
参考:消防庁「救急車利用マニュアル」
次のように死亡していることが明らかな場合は警察に連絡をします。警察に状況を伝え、来てもらいましょう。警察が到着するまでは現場に触れないように注意し、警察が到着したら警察の指示に従ってください。
警察はご遺体を一時的に引き取り、当事者の死亡の原因を調べます。死因が明確になるまでは、「不審死」として扱われます。
孤独死が発見されたときに死亡していることが明らかな場合は、警察が検視をするために遺体が現場から運び出されます。その後は、次のような流れで調査や手続きが進んでいきます。
状況によってさまざまなケースがありますが、もしあなたが亡くなった方のご遺族だとしたら、どのような流れになるのか考えてみましょう。
警察の現場検証が終わると警察から連絡が入ります。遺体の引き取り先が決まったら次のような手順になります。
指定の場所に遺体を引き取りにいきます。
遺体を引き取るときには
● 孤独死をした人の身分証明書(提示できる場合)
● 遺体を引き取る人の身分証明書
● 印鑑
が必要です。
遺体を引き取るときに、現場検証で回収した貴重品と「死体検案書」を受け取ります。この書類がないと死亡届の提出や火葬ができません。死体検案書の作成費用や遺体の保管料などを親族が支払うことがあるので、現金を用意しておきましょう。
また、遺体を乗せる専用車両が必要なので、事前に葬儀業者を手配しなければなりません。
参考:厚生労働省「死亡診断書記入マニュアル」
死体検案書を受け取ったら、孤独死をした人の死亡地、本籍地、または届出を提出する人の所在地など、指定の区役所や市町村役場に死亡届を提出し「火葬許可証」を受け取ります。
参考:法務省「死亡届」
孤独死の場合は腐敗などが進んでいて、衛生管理上の理由から発見された現地で火葬し、お骨の状態で帰郷する場合が多いです。したがって、発見地の地方自治体の火葬場や民営の葬儀場に連絡をして火葬の段取りをします。
これは一般的な葬式と同様です。
孤独死をした人の遺品整理と清掃をおこないます。とくに、アパートやマンションなどの賃貸物件に住んでいた場合は、原状回復して物件を返却しなければならないため、特殊清掃が必要です。孤独死現場の異臭や血液、体液などの汚れや、発生した害虫などを親族で清掃しようとすると、感染症に感染する可能性や心身ともに大きな負担となる可能性がありとても危険なので、特殊清掃ができる業者に依頼しましょう。
孤独死は他人事ではなく、誰にでも突然訪れる可能性があります。では、孤独死を想定した準備にはどんなことがあるのでしょうか。
生前整理とは、生きている間にある程度身の回りの整理を行うことです。生きているうちに部屋の中を整理整頓しておくだけでも、孤独死をしたときの清掃費用が抑えられます。また、親族の負担となる相続や契約解除についても、生前整理である程度整理をしておけば負担が軽減できます。
口座の名義人の死亡が確認された時点で口座が凍結され、相続手続きを終え正式な書類等がないと普通預金のお金を引き出して利用できません。一方で、死亡保険は死亡保険金受取人の設定ができるため、あらかじめ設定しておいた親族に葬儀費用を振り込むことができます。(保険商品により設定方法が異なります。)孤独死で親族にかかる費用負担を減らしたい場合は、死亡保険への加入を検討してみましょう。
孤独死をしたときに親族に費用負担をさせたくない場合は、葬儀業者と生前契約を結んでおくこともできます。
普段から親族や友人とコミュニケーションが取れておらず孤立していると、孤独死しても発見が遅れる可能性があります。厚生労働省「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議報告書」でも孤独死と孤立の関係性に注目しています。親族や友人と互いに連絡が途切れた場合には心配し合える関係を築きましょう。
参考:厚生労働省「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議報告書」
今回は親族が孤独死で発見されたときの流れをみてみました。
最後に、やるべきことと費用を表にまとめます。
孤独死を発見した後に親族がやるべきこと一覧
遺族がやるべきこと | 費用の目安 |
遺体の引き取り | 遺体の搬送費用:20,000円(搬送距離により異なる) |
死亡届の提出 | 死亡の事実を知ってから7日以内に提出:無料 |
火葬 | 公営の場合:20,000円程度(自治体により異なる) 民営の場合:150,000円程度(ランクにより異なる) |
葬式 | 平均196万円(規模により大きく異なる) |
遺品整理 | 業者に依頼する場合:1LDKで70,000円~ |
遺言書、遺書の確認 | 遺言書、遺書の有無の確認 |
特殊清掃 | 1LDKで100,000円~(状況により大きく異なる) |
マンション等の賃貸物件の解約 | 契約状況により違約金発生 |
周囲への連絡 | 勤め先等がある場合は死亡したことを連絡する |
孤独死をした人が使用していたものを停止 | スマートフォン代やガス、電気等を停止する |
墓地を建てる | 80万~300万円(ランクにより大きく異なる) |
相続の手続き | 相続すべきものがある場合は相続手続きをする (遺言書がある場合は内容に沿って相続をする) 相続の規模や方法により、費用が大きく異なる |
孤独死は突然のことで、気持ちの整理がついていない中で、多くのことをやらなければならない親族は心身ともに大きな負担となるでしょう。
さらに、突然まとまった資金が必要となり、残された親族の負担となります。
この記事で、孤独死したときの親族にかかる負担を具体的に把握し、万が一孤独死をした場合の対策について考えられるきっかけになれば幸いです。