高齢の両親と離れて暮らす場合、介護サービスを準備・検討することは、もはや一般的になってきました。
増加する高齢者の万が一の事故を防ぐために、どのような手段を講じるべきか日々様々な方が頭を悩ませています。
その一方で、「万が一」に発生する高齢者の孤独死は、まだまだ認知されていないのが実状です。
実は、千葉県は全国的に見ても独居高齢者が増加傾向にあり、「万が一」に遭遇する可能性が高まっているのです。
そこで今回は千葉県で独居高齢者が増えている理由と共に、
身近で孤独死があった場合に、どのような対応が必要なのかを紹介させて頂きます。
孤独死全般に関して知りたい方は、こちらから孤独死関連記事の一覧をご覧下さい。
もくじ
ご存知の通り、千葉県には高度成長期に建築されたマンモス団地を代表に、多くの集合住宅が存在します。
当時そういった集合住宅を購入し、高齢となった現在も同じお部屋に住み続け、
伴侶との死別や子供の独立で自然と1人暮らしになっている方が増えているのです。
千葉県ではそんな独居高齢者がふとしたきっかけで体調を崩すも、
1人暮らしの為に誰もそれに気付くことができず…という孤独死が本当に多いのです。
既に孤独死が発生する条件が整ってしまっている とも言えるでしょう。
そのような状況にも関わらず、遺族が口を揃えるのは「まさか自分の周りで…」という言葉です。
各種介護サービスの検討時には「万が一」を想定しているにも関わらず、当事者になると思っている方はおりません。
その為、訃報を受けた遺族は、近隣住人や大家さんからのクレームに対応する為に と、闇雲に解決策を探すことになるのです。
加えて、焦る遺族につけこむようにして不正を働く業者もおり、同じ業界で働く者としては心を痛めるばかりです。
いざという時に焦って判断を誤り、後悔することの無いよう、
ここからは「万が一」が起きてしまったとき、つまりは身内に孤独死が起きてしまったとき を想定して
孤独死発生後の流れを説明させて頂きます。
孤独死があった際の連絡は、おおよそ以下の流れを辿っています。
①近隣からの通報で孤独死が発覚
↓
②警察へ通報
↓
③警察や大家さんから親族へ連絡
↓
④特殊清掃業者に相談
故人の親族が、事態を知ることになるのは後半の③の段階となり、
既に周辺住人や、大家さんはある程度事態を把握している状況です。
ちなみに、住人が亡くなっても、故人所有の家財道具(所謂遺品)は大家さんの物ではありませんので、
相続権のある遺族に無断で片づけを進めることはできません。
法令遵守の大家さんであるほど、お部屋の状態はそのままに遺族の決断を待っているのです。
特に集合住宅の場合は近隣からのクレームにも繋がる為、
「至急なんとかしてください!」と連絡を入れる大家さんが大半でしょう。
もちろん遠方に住んでいれば仕事を休んで駆け付けなくてはなりませんし、
遺体の引き取りや葬儀など連日慣れない対応が続きます。
その上で至急お部屋の清掃を! と求められ、どうして良いかわからなくなってしまうのです。
このような場合に、孤独死の発生した物件の清掃や遺品整理、
現状回復(消臭やリフォーム等でお部屋を再利用できる状態に戻す作業)を請け負うのが、私たち特殊清掃業者です。
あまり聞きなれない業種の上、県内外だけで80もの対応業者がおり、どれを選ぶべきか迷ってしまうかと思います。
しかし、特殊清掃業者に対して遺族が気を付けることは ただ一つ。
信頼できる特殊清掃業者を選び、作業を依頼することです。
特殊清掃業者を選ぶ理由は様々ですが、
殆どのお客様に共通する事として以下の2つが挙げられます。
もし高額遺品が発見されたら…
特殊清掃を行う現場は基本的に故人宅です。
御自宅の通帳やハンコ、貴重品の場所を想像して頂くとわかりやすいかと思いますが
時に故人宅には故人しか存在を知らない高額遺品がしまい込まれています。
こういった遺品の発見時は、一時的とはいえ誰も存在を知らない貴重品が片付けスタッフの手を経由することになるわけですから
迅速に報告を行い、間違いなく遺族に届けてくれる業者を選ばなくてはなりません。
効率重視の為に、清掃と遺品整理を複数人で並行して進めることもありますので、
立ち合いができる場合でも全ての作業に完全に目を光らせることは現実的に困難です。
依頼した業者のスタッフとはいえ、他人を家に上げるわけですから、
普段 知人にするのと同様に信頼できる相手を選んでお宅に上げるべきなのです。
もし遺品が不法投棄されてしまったら…
故人宅の片付け(所謂遺品整理)で出た廃棄物は、地域の処分場(クリーンセンターとも呼ばれます)で処理されます。
これは法律上、「遺族が不要とした遺品」が「家庭ごみ」と同じ扱いである為です。
その為、遺品整理では、一般廃棄物収集運搬の許可を持った業者に委託し
処分場に運び込んでもらう という流れが必要であり、無許可業者の対応は運搬すら違法となります。
万が一、無許可業者へ依頼して不法投棄が発覚した場合は、廃棄物処理法違反として依頼者側も責任を問われる可能性があるのです。
加えて不法投棄された遺品には、封筒や書類、パソコンなどに故人の情報が残っていることが大半ですから、
罪に問われずとも「関係者」としての対応が求められることになるでしょう。
不法投棄を行う業者は正規の費用を負担する必要が無く、正規業者に比べて代金を抑えられるため
「ウチはゴミを持って行っちゃうから安くできるよ!」などという甘言に惑わされると、後々トラブルになりかねません。
予算の問題もあるとは思いますが、「値段」のみを物差しに業者を選ぶことは危険と言えるでしょう。
所謂「ワケあり商品」のように、安い業者には安くなるワケがある と考えるべきです。
繰り返しになりますが共通することは、信頼できる業者を選ぶ必要があるということです。
おかれた状況をしっかりと理解し、希望に合う施工を提案してくれる業者。
立ち振る舞いや、言葉遣いなどから、遺族の心を癒してくれる業者。
故人の最期を締めくくる相手として相応しいと思える業者。
「信頼」の形はそれぞれかと思いますが、孤独死が発生してしまってから
複数業者へ連絡し見積りを取って、比較検討を… と行うのは非常に困難です。
特に賃貸物件で孤独死が発生した際は、大家さんや管理会社、近隣住民からも
迅速な対応を求められることが多く、複数業者の日程調整を待ってはいられない現実がある為です。
そこで最後に、特掃隊が推奨する簡単な業者選びのPOINTを紹介させて頂きます。
近年の法改正で特殊清掃に必要となった「解体工事業登録」が顕著ですが、
こういった許認可を法人が得るには長期経験を持つ有資格スタッフや
過去の施工実績など様々な条件があり、容易に取得することは不可能です。
それにも関わらず、許認可を取得しているのは、
作業の質やお客様の満足度を追求した結果に他なりません。
HP等を参考にすることで簡単に外部から確認できると共に、
該当する業者の作業内容に対する姿勢を測ることが出来る部分です。
廃棄物処分を法律に則る形で行えるということも大切な基準です。
是非、見積もり担当者に処分方法について質問してみてください。
不法投棄は、実行した業者・依頼者が共に責任を問われることになりますので、
廃棄物処理法の理解は業者の信頼に直結すると考えてよいでしょう。
一般の方が普段意識しない法律である為に、一切知識のない業者や
わかっていながら、類似の許認可を挙げて誤魔化そうとする業者もいるため、注意が必要です。
特殊清掃業者の選びについては、下記の記事も一読頂くとより詳しくご理解いただけます。
行政によると、現在千葉県は全国2位のスピードで高齢者の孤立化が進んでおり
今後も孤独死問題が増えていくことは想像に難くありません。
1人で暮らす親族がいる方は、是非この問題についてお考えいただき
万が一の孤独死が起きないよう手を打って頂きたいと考えています。
週に1度でも連絡を取ったり、少しの時間でも面と向かって話をする相手がいれば
違った結果があったのではないか? と思われる現場を私たちは何度も経験しているのですから。
それでも、もし、この記事を読んだ方が当事者となってしまったとき、
少しでもお役に立てることを願い、本記事の締めとさせて頂きます。