日本は台風が多く、水害に遭いやすい国です。さらに、猛烈な雨※の年間発生回数も増加傾向にあります。
年平均気温の上昇、地球温暖化の影響により、短時間に強い雨が降る頻度も増えるため、今後も水害被害にあう可能性は高くなっています。
そこで、今回は床下浸水を防ぐために効果的な対処法をご紹介します。
簡単にできるものになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
※1時間降水量80mm以上の雨
もくじ
2018年の西日本豪雨では、床上浸水・床下浸水の被害はおよそ35,000棟。2019年の台風19号では、西日本豪雨を上回る7万棟近くが被害にあったと言われています。
こうした被害を防ぐためには、水を侵入させないことが一番重要です。
私たちが長年、水害消毒のご依頼をいただいているなかで、注意すべきポイントは「ベタ基礎」と呼ばれる家の土台部分だと考えています。
家の基礎は主に2種類あり、「ベタ基礎」と「布基礎」に分けられます。お住まいの基礎により水害対策の方法が変わるため確認しておきましょう。
画像付きで解説します。
ベタ基礎は防湿基礎とも呼ばれており、床下全体にコンクリートを打って作る工法になります。最近では、ベタ基礎で造られている家がほとんどです。
ベタ基礎メリットとしては、以下のような内容が挙げられます。
・建物の重さが分散されるため、高い安定性がある
・地面からの上がってくる湿気や白アリを予防できる
ただし、水位が低い場合、ベタ基礎のほうが被害は少ないのですが、一定の水位を超えるとベタ基礎のほうが被害が大きくなってしまいます。
布基礎は、建物の壁に沿ってコンクリートを打って作る工法です。
縦に伸びる「基礎梁」の部分と、横に広がる「フーチング」の二つからなる逆T字型の基礎で支えます。日本の木造建築住宅では、布基礎が採用されていました。
布基礎は鉄筋やコンクリートなど、ベタ基礎と比べると使う資材が少ないため、コストが抑えられることがメリットです。
しかし、家の重さが集中してしまったり、建物が古くなるとバランスが崩れてしまったりする可能性があるため、布基礎の家はベタ基礎よりも軒数より少ないです。
また床下が土の布基礎で浸水が起きた際、ベタ基礎のように汚水を水で洗い流せないため、対応に時間がかかります。
では実際にはどういった対策が必要になるのでしょうか?家の基礎ごとに対処法を説明いたします。
多くの家の土台として採用されているベタ基礎ですが、冒頭に記載しているとおり、床下浸水が発生しやすい場所になるため、注意が必要です。
少し分かりにくいのですが、ベタ基礎にも通気口が存在しています。
家と家の間の部分に隙間があり、これが建物の全周にわたってできています。
この通気口の部分を防水テープなどで塞ぐことで、基礎に水が浸入しなくなるため、床下浸水を防ぐことが可能です。
実際、私たちが対応した床下浸水の現場は、仮にベタ基礎が10件だとしたら、普通の基礎が1件あるかないかぐらいの割合。通気口を防水テープで塞ぐことは、ベタ基礎においては非常に有効な予防策になります。
文章だけでわかりにくい方は動画も参照ください。
旧家屋(昔の木造建築住宅)のような造りの場合、ゴミや木の枝、泥などが入ってきてしまうケースが非常に多いです。そのため、以下のような予防策が効果的です。
・通気口の前に土嚢を置く
・ネットを敷いて、大きなものが床下に入らないようにする
こういった対策をすることで、床下浸水の被害を防ぐことができます。
短時間に大雨が降る、台風が近づいているのが分かる場合は、早めの準備が大切です。
台風や豪雨の際、避難所に逃げる方もいます。避難所に逃げて、いざ自分の家に戻ったときに浸水を確認するという場合も少なくありません。
準備をしてから避難所に行くことも重要になるので、前倒しで計画を立てて、水が入らないような対策をしておきましょう。
一戸建て住宅には、床下換気のための換気口が設置されています。浸水時にはここが水の浸入路になるため、換気口に止水シートを取り付けるのも効果的です。
道路の雨水ますにビニール袋や落ち葉・ゴミなどが集まると、雨水がます内に流れ込まなくなってしまいます。雨水ます周辺にゴミがないか、掃除しておくと良いでしょう。
繰り返しになりますが、水の侵入を防ぐことが水害の一番の予防策になります。
基礎の周りを防水テープで囲む、泥が入らないように土嚢を置くといった作業は、簡単に取り組める対処法です。
これまで私たちは数多くの現場を見てきましたが、軽度の床下浸水は防げると考えております。
万が一の場合に備えて、是非実行していただけたらと思います。